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2010年10月2日 引っ越し つづき

「引っ越し」の続き

引っ越し作業引っ越しの日は午前7時から作業が始まった。引っ越し屋の方が大きな家具を解体するなど、引っ越しの作業は順調に進んでいった。私が住んでいる(住んでいた)部屋は3階にあるので、リフトを使って窓から家具を運び出した(右写真)が、時々下には見上げている人や写真を撮っている人がいた。家具がなくなった空間は味気なく、そして音がよく響く空間になった。全ての荷物をトラックに積み込んで移動となったが一本道でトラックが動けなくなった。荷下ろし作業で道路をふさいでいる車やトラックがある。約20分ほど何も出来ない時間があった。

その後、新しい家の方に着き、そこでもリフトを使って同じく3階に家具を運んだ。解体された家具の組み立ても全て引っ越し屋に任せている。搬入も順調に進んでいたがまた予想外のことがあった。洗濯機が所定の場所に入らない。新しい家には洗濯機を置く小さな部屋があるのだが、その入り口を通れないことが分かった。洗濯機は一般的な標準サイズだが、入り口が狭い。フロントスイッチや天板など外せる部品も外して何度も通過を試みたが難しく、またバスルームなど別の部屋も考慮したがスペースや排水の問題で結局洗濯機は新たに買い直さなければならなかった。

いずれにしても新しい家での整理が始まった。運び込まれた家具を目にすると、ようやく新しい家での生活感のようなものが感じられた。後片付けと同時に生活するための環境を整えることから始まった。まず天井の電気。友人にも手伝ってもらい、幾つかの電気を取り付けた。電動ドリルなどを使って天井や壁に穴を開けて取り付けていく。整理作業はまだまだ終わらない。実際この文章を書いている10月の現時点でもまだ終わっていない。壁や天井からは配線コードだけが出ている状態になっている。

そういえば今、別の友人も同じように部屋を探しており何軒か申し込んでみたものの、未だ見つかっていないという。一つの物件で数日間かけて見学会が催される物件もあるようで、思ったよりも今は家探しが簡単ではないようだ。

ところでドイツ、特に旧西ドイツの街中、旧市街地には新築が数少ない。というのは昔ながらの建物は外観など基本をそのまま残して改装して使われることが多い。ドイツ語にはアルトバウAltbauと言う単語とノイバウNeubauという単語がある。直訳すれば前者は古い建物、後者は新しい建物で、その新しい、古いの境目は1949年12月30日にある。一般的にそれより前に建てられたものはアルトバウ、それ以後はノイバウと呼ばれる。

アルトバウの特徴は天井が高く、壁が分厚い。手入れされているアルトバウは重厚さの中にここ最近に建てられたような綺麗さがあって人気が高い。同じアルトバウでも手入れがあまりされていない建物は朽ちていく一方で、見た目的にも綺麗ではない。引っ越し前の家は、どちらかと言えば後者だった。それなりに手入れされているものの古い。それ故、その建物群を購入した新しい不動産屋は建て直しをするのだろう。その際、おそらく外観は残されて中身だけが変わると思われる。

ザールブリュッケンでの家探しで、気がついたのは人気のある地区である。ザンクト・ヨハン地区やナウヴィーザーフィアテル地区はアルトバウ建築が多いので空き物件が出ると直ぐに申し込みが殺到するなど、人気のある地区となっている。それに比べると郊外の新築物件は直ぐに入居者が決まっていないことが多いように感じられる。

ドイツに帰国して家探しを始めてからもうすぐ2ヶ月になる。ネットを見ても今以上に条件の良い物件は出てこないから、この新たな家に決まったのは本当に良かったと思う。これから色々な書類の住所変更や後片付けで忙しくなりそうだが、新しい家での生活は楽しみである。

ところで今回の引っ越しのことで気になっていたことがある。そのことに関しては次の日記で。


アルトバウ

アルトバウ。新居の方。壁の分厚さが扉の半分以上ある。


配線コード

壁から出ている電気の配線コード



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