Home > ザールブリュッケンでの日記 > ザールブリュッケン消防100周年イベント
2011年4月9日(土)、ザールブリュッケンの街の中心であるザンクト・ヨハンナー・マルクトでザールブリュッケン消防100周年のイベントが開催された。ザールブリュッケンの公的な消防組織が出来て100年ということである。ドイツには、(地域の消防団ではなくて)職業的な消防組織は2011年現在、103組織ある。ザールブリュッケンにある消防組織はザールラント州唯一の職業的な消防組織で、1911年に組織された。
1909年にザールブリュッケン(現在のアルト・ザールブリュッケン地区)、ザンクト・ヨハン、マルシュタット=ブルバッハの3つの街が合併してザールブリュッケンが出来たときに、街の消防を組織することが考えられた。それにはザンクト・ヨハンの消防団が中心になった。これは1862年に組織されたもので、ドイツの他の街で消防が組織されたときと同じ頃に作られた組織である(現在のアルト・ザールブリュッケン地区の消防団は1868年に組織された)。現在、ザールブリュッケン消防組織には180人の消防士と750人からなる消防団員が所属している。
そのザールブリュッケン消防100周年のイベントが催された日、この日は最高気温が22度まで上がり、また強い日差しもあって、人混みの中ではじっとしていても汗が出てくる陽気だった。午後2時からそのイベントが始まるというお知らせがあったが、午後2時半少し前に広場に向かうとまだ始まっていない模様。しかしそこには多くの人がいて、イベントが始まるのを待っている状態だった。
午後2時半を少し過ぎてから、マイクで喋る人の声が聞こえてきた。何処で喋っているのか周りの人もその場所を探している。どうやら広場に面して建つ建物の窓から体を乗り出して喋っているよう。もう一人は一つ下の階から同じように体を出して喋っている。その後、彼らは広場まで移動し、広場の中を動き回りながら司会をやっていた。イベント前半はこの二人が色々動き回って何かをやっているものの、人が多くて見えず、広場にいる人はただそこにいるだけといった感じだった。
報道によると、このイベントには5000人以上の人が集まったとのこと。青空が広がる快晴ということもあって、もしかすると予想以上の人が集まっていたのかも知れない。イベント前半はどこかまとまりのないイベントに感じられた。パレード的なものもあったが、とにかく人が多くて「行進」というよりは人と人の合間を縫って歩いたといった感じだった。そしてその人混みの間に出来た道を民族衣装や当時の衣装に身を包んだ人が歩いていた。
イベント後半になると、昔の消防士の具体的な活動が披露された。建物から白煙が上がり、窓から人が助けを求めている。カーン、カーン、カーンと大きなベルを鳴らしながら、はしご車が運ばれてきた。続いて馬にひかれたポンプ車がその人混みの中を通って、白煙の上がる建物に近づいていった。同時に噴水からはバケツリレーも行われている。これには市民も参加していたが、お祭りとあって、大人も子供も楽しそうな雰囲気があった。バケツリレーは2列に並び、一方では噴水から水が運ばれ、もう一方は空になったバケツを噴水の方へ戻すリレーになっていた。
ポンプ車に水が貯められ、人がポンプを押すことによって放水している。真っ直ぐ飛ばないようで、その操作も難しそうに見える。はしご車から伸びたはしごに登って、2階や3階の窓から人が救助されてくる。その度に広場からは歓声が上がる。消火作業・救出作業など全てを終えた後、広報の人が今回の消火作業に関して、「死者0人」と言ったアナウンスがあった。またしても歓声が上がる。そういえばこのアナウンスをしていた人も当時の衣装を着ていたが、この日は300人以上の消防士だけでなく何十人かの一般人が当時の格好をしていたということ。その中には市長の姿もあった。
ザールブリュッケンは長い歴史の中で、統治者や統治する国家が何度も替わり、同時に街の宗教も替わったこともあって伝統的な祭りなどがなく、街中で民族衣装を見る機会はドイツの他の街に比べて随分と少ないように感じられる。しかしこの日は僅かでもそういった人の姿を目にし、また昔の少し暖かそうな(今の時期なら暑そうな)制服を着た消防士の格好を見て、多くの人が喜んでいるようであった。そういったところから街の伝統と言ったものに意識が向くかも知れない。いずれにしてもイベントを通して消防の活動に多くの人が興味や関心を持ったのは間違いないだろう。
司会者の二人
ザンクト・ヨハンナー・マルクト
当時の衣装の消防士
パレード
パレード
パレード、青空に髭が似合う
音楽隊のパレード
ポンプ車をひく馬
ポンプ車の入場
当時の格好をした人たち
放水作業中
号外を配っていた
号外
人で一杯のザンクト・ヨハンナー・マルクト
銃によって壁を作る
民族衣装でかける子供たち
やあ、どうも。当時の格好をした人たち
音楽隊のパレード
当時の格好をした消防士
一般の人も参加したバケツリレー
はしご車の入場
白煙が上る中の救出作業
当時の格好をした人たち
放水作業中、暴れるホース。本来消火すべき場所は右側にある
号外を読む人たち
バケツリレーのあと。石畳は濡れている