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2011年2月20日 謝肉祭の鐘の音

謝肉祭時の市庁舎一般的にカーニバルと呼ばれる謝肉祭、ドイツではカーネヴァル、ファシング、ファストナハトと地域によって様々な名称で呼ばれる。ザールブリュッケンではファストナハトやファシングといった表記をよく目にする。名称がドイツ各地で違っているのは、現在のような無礼講的、馬鹿騒ぎ的なお祭りになったのが19世紀以降で、宗教的なものとそれぞれの地方にそれより以前からあった伝統的な祭りが一緒になったからである。だから同じ謝肉祭といっても、例えば南ドイツのミュンヘンと中部のケルンではその内容も違っている。

無礼講的なものは19世紀以降の政治的なものによる。というのは現在のドイツの地域でも、その場所を統治していたのが同じドイツ人とは限らず、フランス占領下だったり、(同じドイツ人ではあるが国が違った)プロイセンだったりする。そんな中でその日だけはお咎め無しに一緒になって祭りを楽しんだことにある。

宗教的には、正確には前年の11月11日11時11分に始まり、翌年の四旬節、つまり復活祭前の40日間が始まる前の火曜日に終わる。しかし実際には1月6日、公現祭の祝日以降、特に最後の1-2週間に盛り上がり、最終日の火曜日で最高潮に達する。この日は平日だが、街によっては午後から、官公庁、銀行や商店、学校など休みになるところが多い。つまり祝日的な一日になる。

ザールブリュッケン周辺の街でもパレードなどが催されているが、ザールブリュッケンでは市民が騒ぐような公的なものは何もなく、ドイツの他の街のような盛り上がりは全く感じられない。謝肉祭はカトリックの行事なので、統治者が色々と変わったザールブリュッケンでは、カトリックの時もあればプロテスタントの時もあり、その伝統が定着しなかったのだろう。

ただ市庁舎の鐘だけは普段と様子が違っていた。一日に何度か市庁舎の鐘が鳴るが普段は民謡やバッハ、ベートーヴェンの作品が演奏される。しかしこの日だけは別のものが演奏されていた。その特別な鐘がひっそりと鳴っているのが非常に印象的だった。

 


♪ 謝肉祭時の市庁舎の鐘の音(53秒)



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