Home > ザールブリュッケンでの日記 > 東日本大震災復興支援チャリティーコンサート
3月11日に発生した東日本大地震でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対して心からお見舞い申し上げます。一日も早い復旧復興をお祈り申し上げます。
ヨーロッパの他の街でもなされているようにザールブリュッケンでも東日本大震災の復興支援に対するチャリティーコンサートが行われた。2週間ほど前にアイデアが出て、コンサートの直前まで準備がなされ、いろいろな人が助け合って出来たコンサートである。実際、ポスターやカードなども直前に完成したようで、それから急いで街のあらゆる場所に貼られたと言うこと。またコンサートの告知はザールブリュッケン新聞に半ページ以上の大きさで掲載された。しかしそれはコンサートの2日前とあって、一体どれほどの人が集まるか不安があった。
コンサート会場は市内にあるルートヴィヒ教会。街のシンボル的な教会である。午後7時半からコンサートは始まるが、7時少し前に訪れると観客はまだほとんどいなかった。しかし開演時間の7時半が近づくにつれ、礼拝堂は人で一杯になり、開演時間を過ぎても人が入ってくるといった状況だった。礼拝堂の中は色々な人の声が響き、ざわざわとしている。
開演時間を少し過ぎてから、礼拝堂後方の上階で龍笛と笙による越天楽でコンサートが始まった。その音が聞こえてきた途端に、礼拝堂内は一気に静まりかえり、独特の静寂の中、楽器の音が響いていた。演奏場所は座席後方の上階だったので、何処で演奏しているか分からなかった人も多かったに違いない。しかし上で演奏されているので、音はまるで天から降ってきたように聞こえただろう。多くの人が耳を傾けているのが分かる。
それに続いて独日協会代表の方の挨拶となり、全員起立して黙祷となった。礼拝堂内は本当に静まりかえっている。そこに再び龍笛と笙により「さくら」(「さくらさくら」)が演奏された。落ち着いた音色と旋律が、よりその空間を静かにしている。続いてザールラント州の厚生労働大臣の挨拶が始まった。今回のチャリティーコンサートは元々有志のアイデアで始まり、独日協会やザールブリュッケン新聞、ザールラント放送局、ザールラント州厚生労働省を始め、様々な人々によって支援された。
その後、音楽プログラムが始まった。パイプオルガンでバッハの演奏、シューベルトのアヴェ・マリアなど、モーツァルトのオーボエ四重奏曲、ソプラノ歌手による「さくら」の独唱。最後はパイプオルガンで「さくら」をモチーフにして即興曲の演奏で締められた。今回のチャリティーコンサートにはドイツ放送管弦楽団やザールラント州立劇場の方を始め、個人の演奏家や音大生までが参加した。コンサート終了後に演奏者全員が一段高さがある内陣のところに並んだが、立ち上がって拍手をする人やブラヴォーを叫んでいる人もいる。そこにある大勢の拍手が非常に暖かいものに感じられた。
コンサート終了後、私も募金箱を持って教会入り口に立った。多くの人が寄付をしてくれるのは本当に有り難く感じられる。中には頑張ってくださいと握手を求めてくる人や応援しています、と声をかけてくださる方もいて、心温かくなるものがあった。同時に私自身も出来ることを頑張らなければならないと感じた。そのあと、一部の人が残って寄付していただいたお金の計算をしたが、合計で8000ユーロを超える金額に誰もが驚いた。その金額を意識すると、改めて多くの人が支援してくれたと分かる。その金額だけでなく、そういった多くの方々の想いも伝えなければならない、そう感じたチャリティーコンサートだった。
チラシ
開演前
独日協会代表の挨拶
笙の演奏
パイプオルガンの演奏
アヴェ・マリアの演奏
「さくら」の独唱
公演最後の挨拶
教会入り口にあるコンサートのポスター
最初の龍笛と笙の演奏
厚生労働大臣の挨拶
龍笛の演奏
パイプオルガンの演奏
オーボエ四重奏曲の演奏
パイプオルガンの演奏
募金箱