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2010年12月17日 ザール川の増水

増水したザール川2010年12月上旬、ルクセンブルクからバスに乗っての帰り、バス内に流れるラジオから、ザール川の増水のためザールブリュッケン市内を走るアウトバーン(高速道路)の一部が通行止めになっていることを知った。バスもその影響を受けて途中で高速道路を出て一般道を走ったが、夕方ということもあってそこは渋滞していた。雪解け水の影響ということ。中央駅でバスを降りてザール川に向かうと、普段は川横を走っているアウトバーンや歩道の所も完全に水没し、船上レストランは桟橋から延びた先にある川岸が水の中に沈んでいた。

ニュースを見ると、水位的にはそれほど大きな数字ではなさそうだが、それでも市内の様々な箇所で影響が出ているということ。特にビスマルク橋とルイゼン橋の間が最もその影響を受けていて、ザールラント州立劇場裏の地下駐車場や市内ベルリーナープロムナーデにある駐車場や倉庫などが浸水しているということ。

翌日、ザール川を再び訪れたが、水は綺麗に引いていた。しかしアウトバーンや川横の歩道には赤土の泥が見え、そこにも水があったことが分かった。それにしても川の水量が多く、速い。この地方は赤土が見られる地域なので、川の水も濁っているときが多く透明感が全くない日もある。その泥のような川には人の身長の何倍もあるような大きな木が流れていた。川の横を歩いている人の速度と比較しても、その大木はあっと言う間に人を追い越していった。

この増水は12月に何度かあり、その数は例年よりも多いということ。ザール川は普段は大人しい川だが、そういった雪解けの影響などで過去何度か氾濫している。街中の数カ所にはその水位を示す印があるが、場所によっては人の身長を超えている所もある。増水したザール川

そして増水によって毎回アウトバーンは通行止めになる。その結果、市内は大渋滞になっているが、そのことに対する対策も議論されているという。そういえば市内中心部を流れるザール川周辺を整備する大きなプロジェクトがある。現在のアウトバーンを地下に持って行き、上に公園を作るという案だ。そして歩行者専用の橋が2本建設され、川沿いは市民憩いの場となると言う計画である。

ドイツの他の街を見ても市内中心部をアウトバーンが走っている街はそれほど多くない。街によってはそれが一般道となったり、地下や郊外を走るなど迂回していることがある。ザールブリュッケンの場合は1957年にドイツ(旧西ドイツ)に加入したとき、他の街との結びつきを作るために急いでアウトバーンを建設したのだろう。アルテブリュッケ橋の一部が壊され、ルイゼン公園など幾つかの公園がそれによって取り壊された。あまり計画的とは言えないような工事だが当時はそれだけドイツとの結びつきを強めるのに必死だったといえる。

ベルリーナープロムナーデの整備工事もその大きなプロジェクトの一つであるが、ここは近年、駐車場や倉庫になっており、あまり散歩したくなるような場所ではない。ここはザール川の増水時、市内で一番最初に浸水する場所なので、そういった用途に使われていたのだろう。

20世紀の初頭、ザール川は今よりも随分幅が広かった。その後、川を使った運送よりも鉄道が中心になり、それに合わせるように何度も川岸工事がなされ、同時に近年にはザール川の増水対策もなされて、以前のような大きな氾濫が起きないようになった。それらのことから、そういった公園整備プロジェクトも計画されたと思われるが、言ってみればそれだけ街の人のザール川に対する意識が変化してきているのかも知れない。これから50年後、100年後には更に違った川のある風景が見られるかも知れない。


増水した翌日

増水した翌日


増水した翌日

増水した翌日、犬の散歩をしている人がいる


市内にある増水の記録

市内にある増水の記録、右のプレート2枚


市内にある増水の記録

市内にある増水の記録


増水した翌日

増水した翌日、アウトバーンには人が。その上は渋滞中


市内にある増水の記録

市内にある増水の記録


市内にある増水の記録

市内にある増水の記録、自転車の上の方にあるプレート2枚


市内にある増水の記録

市内にある増水の記録、左の拡大。9メートルとある



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