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2010年9月7日 州立オーケストラ、コンサート「マーラー5番」

ポストカード2010年9月5日(日)、ザールラント州立劇場の新シーズンが幕を開けた。最初の演目はシンフォニーコンサートで場所はコングレスハレ。午前11時開演の前、外の温度計を見ると14度とある。青空の下、吹き抜ける風が少し肌寒く感じられる。

やはりシーズン最初の公演だからか正装している人が多い。自分は2階席だったが、周りを見てみると2階はほぼ満席、1階も両端の方に空席があるだけで、多くの人が入っているのが分かる。オーケストラの人が舞台に上がり、そして午前11時を少し過ぎてから、同劇場総支配人ダクマー・シュリンクマンが姿を見せて新シーズンに対する挨拶を行った。彼女が舞台袖に戻って暫くすると静寂の中、この日のピアニスト、アンヌ・ケフェレックと指揮者トシユキ・カミオカ(上岡敏之氏)が舞台に姿を見せた。温かい拍手が会場を包み込んでいる。

この日の演目はモーツァルト「ピアノ協奏曲第24番」(1786年作曲)とマーラー「交響曲第5番」(1902年作曲)。

黒の衣装に身を包んだフランス人ピアニスト、アンヌ・ケフェレックはモーツァルトを得意としているのだろう。それが感じられる演奏だったが、とにかく楽しそうな雰囲気が彼女にはあった。特に2日目はそれが感じられる演奏だった。当初、自分は初日だけを聴くつもりであったが予想以上に面白い演奏だったので翌月曜日(午後8時開演)も会場に足を運んだ。二日目のピアニストは上が真っ赤な衣装で、一際目立っている。アンコールは両日ともヘンデルのメヌエットだった。

カーテンコールコンサート後半のマーラーの5番。これがとにかく面白い演奏だった。つまりこれまで他のオーケストラや他のホールで聴いた5番とは全く違う演奏だった。最も印象的だったのは音量の差。ピアニッシモは本当に音が小さく、おそらくCDだと音が聞こえないような音量だった。大きな編成のオーケストラでここまで小さな音の演奏はこれまで聞いたことがないかもしれない。演奏者だけでなく観客も息を殺して音楽に集中している雰囲気があった。逆に出るところでは大きな迫力がある。それがより強調されているようでもあった。この演奏に対しては色々な人の感想があった。面白いといっている人が多い。

そういえば、コングレスハレでザールラント州立オーケストラのコンサートがある時、ホールの舞台後方にはザールラント州立劇場を表す「SST」という看板が掲げられてあったが、両日ともそれは見られなかった。それを目にすれば「ザールラント州立オーケストラ」のコンサートと一目で分かるが、それがなくなったのは目ではなく音で「これがザールラント州立オーケストラ」と判断できるように期待を込めてのことかもしれない。


1. Sinfoniekonzert

Wolfgang Amadeus Mozart: Klavierkonzert Nr. 24 c-Moll KV 491
Gustav Mahler: Sinfonie Nr.5 cis-Moll

Solist: Anne Queffélec, Klavier
Leitung: Toshiyuki Kamioka

公演前のコングレスハレ

パンフレットとチケット

公演前のコングレスハレ

パンフレットとチケット


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