2010年5月25日 パーティー

タッパー・パーティー先日、知り合いにタッパー・パーティーなるものに招待された。まるで広告の裏に書かれたような簡単な招待状には日付と場所が書かれているだけで、特に何も用意してこなくて良いという。他に知り合いが何人か招待されており、全く見ず知らずの人ばかりではないので参加することにした。聞けば誰かが多くのタッパーを持ってくると言う。

タッパーとは台所用品のプラスチック密閉容器のことである。本来はアメリカのタッパーウェア社が製造しているプラスチック製容器のことで、これは商標登録されているが、一般的にプラスチック密閉容器がタッパーと称されていることが多い。

タッパー・パーティーと聞くと、タッパーに料理を入れて持ってくるものだと想像していた。パーティー開始時間より少し遅れて、その場所に着いた。何人か知った顔があり挨拶をしていると、主催者の一人が大きなバックから幾つものタッパーを出し始めた。大きさや色も様々である。そして中に何も入っている様子がない。

そこで初めて気が付いたが、タッパー・パーティーは所謂ホームパーティー商法だった。そこでタッパーの製品紹介をして、購入を求めるものである。特に必要なものもなかったので何も購入しなかったが、そういったパーティーに初めて参加したのは、なかなか面白いものだった。調べてみるとタッパーはホームパーティー方式で売られるのが一般とのこと。1951年にアメリカのタッパー社は販売方法をホームパーティー方式のみにすることを決定したとある。家庭で実際に水を入れて密封性を証明したり、冷蔵庫の収納法や様々な利用法を提案するなど、その方法で売り上げを伸ばしていったらしい。

劇場でのパーティータッパー・パーティーは初めてだったが、自分もドイツに来てから色々なパーティーに参加した。例えば引っ越しや誕生日、また誰かが帰国の際など個人的なパーティーもあれば、例えば天皇誕生日式典パーティーや劇場関係など規模の大きなものもある。個人でのパーティーでも日本人ばかりというわけではなく、ドイツ人や韓国人なども多く、例えばスシをみんなで作ったりする。ドイツに来てからスシを作る機会が多くなったかも知れない。またパーティーといっても単に人が集まって何かを食べるだけのこともある。例えば鍋がそうだろう。

そしてパーティーでは主催する方(お祝いされる方、例えば誕生日の人)が準備をすることが多い。パーティーはレストランでする場合もあるが、たいていの場合は家、部屋でなされる。招待する側(例えば、誕生日の人)が料理の準備などをし、招待された方は基本的に何もしなくて良い(と言っても大抵はワインなどの手みやげを持参することが多いが)。

パーティーそういえば以前招待していただいたドイツ人家庭では、その日は「特別な日」ということで、かなりの量の料理やお菓子でもてなされたが、聞けばかなり多めに作ってあるとのこと。その方が言うには一般的にそういった日の料理は一度の食事では食べきれない量を用意するらしい。食事の際は黙々と食べるのではなく、当然会話がある。食事が終わった後も普通は会話が続く。するとまたお腹が空いてきて、料理の残りを食べる。そのようにしていると用意された料理をほぼ全て食べきるそうだ。それだけ会話が弾んでいるということだろう。それ故パーティーは日付が変わっても続けられることも少なくない。もちろん、このことは家庭にもよるだろう。その招待していただいた家や地域では、食事が全部なくなると出席者みんなが幸せになるというようなことを言っておられた。

ところで日本人がパーティーをする際は当然日本食が多い。パーティーを主催する人が例えば、お好み焼き、カレーなどを作る場合もあれば、みんなで作る場合もある。たこ焼きや餃子など。以前餃子を作ろうと餃子の皮作りから始めたことがあった。いずれにしても、みんなで何かを作るのは楽しい。しかし日本人がパーティーをする際、それがどのような内容のものでも、特に学生が多い場合は手巻き寿司をやることが多いと思われる。主催する方にとってはこれが一番手間がかからない上に、もし遅れてくる人がいても料理が冷めたりすることもない。また各自のペースで食事できるのも良い。

手巻き寿司の場合、具になるのは野菜が多い。もちろん魚も使うが、ドイツでは魚が簡単に手に入るというわけではなく、また日本より高価なので野菜を使うことが多い気がする。いずれにしても友人たちと同じテーブルを囲って食事するのは楽しい時間だ。その席に日本人でない人がいれば、例えばワサビに対する反応を見たりしてパーティーは盛り上がる。

パーティーそういえば以前、友人の誕生日パーティーでは手巻き寿司ではなくて太巻きだった。参加者みんながその場で巻きすを使って寿司を巻く。それを提案した人によると「粘土いじりみたいで面白い」とのこと。自分もそうだったが日本で一度も寿司を巻いたことがない上に、海苔の表裏などをドイツに来て初めて意識する人もいた。少なくとも自分にとって、ドイツに来る前は巻き寿司とは自分で作るものではなく買って食べるものだった。ドイツに来て日本の文化を知ることができるのは面白い。この日、誕生日の人も招待された人も珍しい体験が出来たということだった。

ところで以前、少しの間ではあるが、ドイツでワルツを習っていた。初心者コースだったが回りはドイツ人ばかりである。初心者といってもやはり本場、スマートな動きで絵になる人もいれば、逆に不器用な男性もいて、楽しい時間だった。ワルツはドイツやヨーロッパの宮廷では踊れて当然というものだった。つまりワルツが踊れればドイツやヨーロッパの(宮廷)文化を知ることが出来るかも知れない。今現在、自分は行っていないので基本的なステップしか覚えていないが、ワルツを踊るようなパーティーにはまだお目にかかったことがない。


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