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2010年4月10日 ICE(都市間超特急)

先日、ザールブリュッケンからマンハイムまでドイツ鉄道(DB)を利用した。高速列車ICE(都市間超特急、イー・ツェー・エー。ドイツ版新幹線のようなもの)で向かったが、ザールブリュッケン中央駅を出発して暫くすると、パスポート(身分証明)チェックがあった。今まで何度もザールブリュッケンとマンハイム間をICEで利用しているが、こんなことは初めてである。フランス警察とドイツ警察の人たちがチェックをしている。ザールブリュッケンはドイツ側の国境駅なので、ここからフランス国内に鉄道で入ったときに希にチェックがあるが、ドイツ国内で独仏両国警察によるチェックは初めての経験だった。チェックは問題なく済んだが、ザールブリュッケンが国境に位置すると改めて感じられた。

そのICEは現在フランス/パリとドイツ/フランクフルト・アム・マイン間を走っているが、ザールブリュッケンが時間的にはちょうどその中間となっている(パリには1時間50分、フランクフルトには2時間)。因みにフランクフルト・アム・マインからパリに向かう際、ザールブリュッケンの次の停車駅はパリなので、感覚的にはより近く感じられる。

駅に停車するICEと地方列車ところでICEはドイツ版新幹線のようなものと書いたが、日本のように専用路線や専用ホームがあるわけではなく、基本は在来線と同じ線路を走っている。つまり駅に行けば、右のホームにはICEが止まり、左のホームには在来線が止まっているという光景を目にすることも多い。専用路線を走っているわけではないので、一日の本数もそれほど多くない。ザールブリュッケンからマンハイムまでは往復12本しかない。ただそれ以外にIC(都市間特急)やEC(ヨーロッパ特急)など直通の高速列車も走っている。

また日本の新幹線と大きく違うのは座席の向きが変わらないということが挙げられる。新幹線は進行方向に向けたり、向かい合わせにすることも可能だが、ICEでは変えられないので、後ろ向きに座るということも多い。しかしヨーロッパの大都市は行き止まり駅になっていて、そこで列車の進行方向が変わるので、長い区間乗っていると座席の向きが進行方向になることもあれば、その逆になることもある。

ところで2007年6月10日、ザールブリュッケン=パリ間の高速鉄道路線が完成し、ドイツのICEがパリまで走ることになった。同年12月にはフランクフルト・アム・マインまでその路線は延び、現在に至っている。ICEはフランス国内は最高時速320キロで走り、ザールブリュッケン=マンハイム間は昔ながらの路線を走っているので最高時速160キロとなっている(将来的には時速200キロになる計画がある)。

現在、このフランクフルト=パリ間はドイツの高速列車ICEだけでなく、フランス鉄道(SNCF)の高速列車TGVも走るようになった(ICE、TGV合わせて往復12本)。ただ時刻表の列車名がICEと書かれてあっても、TGVが来たり、その逆もある。以前、TGVに乗ってみたいと思い、その列車を予約したが、やってきたのはICEだった。逆にICEと書かれているのにTGVが来たと言うこともある。どちらも高速列車なので、そう変わりはないかも知れないが個人的な印象で言えば、同じ2等車でもICEの座席の幅が広く感じられ、TGVよりも快適に感じられる。これは混み具合にもよるので人それぞれ印象は違っていることだろう。

ザールブリュッケン=パリ間の直通高速列車路線が出来、ザールブリュッケンからパリまで近くなった。言い換えればドイツからフランスが近くなった。20世紀初頭はフランクフルトからパリに行くには途中、国境のザールブリュッケンで一泊するというのが一般的だったが、それが今は約4時間で移動することが出来る。この路線が開通するに当たって、それまでICEの停車駅だったノイシュタット・アン・デア・ヴァインシュトラーセとホンブルク(ザール)にはICEが停車しなくなった。大都市間の所要時間短縮が優先された結果そのようになった。

現在はフランクフルト・アム・マイン、マンハイム、カイザースラウテルン、ザールブリュッケン、パリと僅かな駅しか停車しない。ザールブリュッケンとパリ間は更に高速化され、将来的には1時間半になるという記事も目にしたが、もしかするとそのころには更なる高速化のため、フランクフルト・アム・マインとパリをノンストップで結ぶという列車が出来ているかも知れない。現にフランクフルト・アム・マインとベルリン間はそういったICE(ICEスプリンター)が走っている(通常ICEで4時間以上かかるがそれを約3時間半で結んでいる)。そうなればドイツとフランスの距離は更に縮まると思われるが、例えばもしICEが停車しなくなればザールブリュッケン市民にとってパリは更に遠い場所になるかも知れない。フランクフルトを出発すれば、次はパリ。そんな風になれば良くも悪くも今まで以上に国境の壁が低くなるだろう。

余談だがフランクフルト=パリ間を走るICEはICE3(ICE 3MF、このページのICE)という車体だが、これをデザインしたアレクサンダー・ノイマイスター(1941-)は日本の新幹線500系もデザインした。


ICEのロゴ

客室(2等車)

車体にはICEのロゴが入っている。


客室(2等車)。2等車は2+2列になっているが、1等車は1+2列になっている。
その他に車椅子スペースも設けられている。

デッキ付近

コンパートメント

デッキ付近。手前にトイレがあり、コンパートメント、客室と続く。

コンパートメントは1部屋6席(2等車)。
見知らぬ人と一緒になることが多く、会話することもある。

軽食堂車(ビストロ)

トイレ

軽食堂車(ビストロ)。そこにいるのは乗務員。

トイレ。これ以外に身障者用の大きなスペースもある。

駅に停車中のICE

電車内にある電光掲示板

駅に停車中のICE。

電車内にある電光掲示板。次の停車駅や走行速度が表示される。
車種や区間にもよるが、ドイツ国内の営業最高速度は300km/h。

ICEにある案内

TGV

ICEにある案内。
この列車はドイツのフランクフルトとフランスのパリの間を走っている。
フランス国内をドイツの高速列車が走ると言うことは・・・

・・・逆にフランス国鉄(SNCF)の高速列車TGVもドイツ国内を走っている。

車体にあるTGVのロゴ

TGV客室(2等車)

車体にあるTGVのロゴ。

TGV客室(2等車)。

パリ=ザールブリュッケン開通時のポスター

ホームにある案内板

パリ=ザールブリュッケン開通時のポスター。

ザールブリュッケン中央駅のホームにある案内板。


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