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2010年2月5日 シャガール展

ポスター2009年12月19日から2010年2月28日までザールラント美術館にて特別展「シャガール展」が開催されている。今回のこの展示ではマルク・シャガール(1887-1985)の作品約220点が展示される。それらはザールラント美術館が所蔵している約500点の中からだけでなくパリやベルリン、チューリヒ、ストックホルムなどの美術館所蔵のものまで展示され、規模の大きな美術展となっている。

以前ザールラント美術館で開催されたピカソ展を休日に訪れた際、来場者が多く入場まで約30分待ちとなっていたので、今回日曜日にシャガール展を訪れるときは混雑を予想して正午頃に訪れることにした。ところで美術館は現在、新たな建物が建設されている最中で、本来の正面玄関周辺が工事中となっている。そのため美術館に入るには仮設通路のようなものを通って裏側から入るようになっている。

私が訪れたのは氷点下でまだ雪が残っている日の正午過ぎだったが、美術館には想像した以上の人がいた。しかし入場制限はされず難なく入場できた。中では幾つかの場所で学芸員などによって絵画の説明がなされている(ドイツ語、フランス語、ロシア語)。プログラムを見ると子供向きのガイドもあると言うこと。ザールラント美術館でのシャガール展、私がこれまで本などで目にしたものもあったが、ほとんどは初めて目にする作品だった。聖書関連や童話の挿絵、「ダフニスとクロエ」の挿絵など、油絵やリトグラフの作品が展示されてあった。

一点一点をゆっくり見ていると、思った以上に時間がかかったが、その世界を楽しむことが出来る展示であった。展示場を出ると、入り口前には列が出来ており入場制限がなされていた。また入り口近くでは子供向きのワークショップが開催されており親子で参加する人の姿も見受けられた。

ザールラント美術館でのシャガール展時間があったので常設展も観ることにした。こちらは同じ館内でもシャガール展の熱気が全く消えてしまったような、ひっそりとした場所で閑散とした空間が拡がっていた。所蔵している作品全てが展示されているわけではないだろうが、このときはピカソやモネ、ゴーギャンの作品も僅かながら展示されていた。人が数えるほどしかいなかったのが残念に思われる場所だった。

常設展を出ると、先ほどよりも多くの人がシャガール展の入り口前で待っていた。数10分待ちという入場制限がされているようだ。気温が低く、また雪が少し積もっているので遠出するのではなくて、街中にある美術館を訪れようとした人が多かったのかも知れない。

そういえばシャガール展が始まったとき、その初日には約1000人が訪れたと新聞には書かれてあった。週末、特に日曜日は来場者が多いことだろう。その後の新聞を見ると1月末までに約2万人が訪れたと言うこと。シャガール展、彼の作品をこれだけ多く観られる機会はそれほどないと思われるので、中には数回訪れた人もいるとのことだった。

今回のシャガール展は非常に魅力ある展示になっていて来場者の数も多いが、常設展のあり方を意識しなければ、文化都市として市民の文化芸術的な意識を上げるのは難しいかも知れない。それでは単にイベントだけの文化芸術都市になってしまう可能性がある。新しい建物が完成すれば自ずと文化芸術に市民の目が向くかも知れないが、美術館としても単に箱を作るだけではなくて、様々なことを意識する必要があるだろう。そんなことを感じたシャガール展だった。


ザールラント美術館

ザールラント美術館

ワークショップ

ワークショップ

常設展

常設展

横断幕

街中にあるシャガール展の横断幕


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