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2009年12月1日 ミュージカル「ファンタスマ」

チラシ2009年11月7日(土)、ザールラント州立劇場でミュージカル「ファンタスマ」(ファンタズマと言う発音もよく耳にする)がプレミエを迎えた。ザールラント州立劇場のプログラムはミュージカルとオペレッタが毎年交互に上演されるという。先シーズンはフランツ・レハール(1870-1948)のオペレッタ「メリー・ウィドウ」が上演され、今シーズンはミュージカルで、「ファンタスマ」が上演される。

作曲はザールラント出身でドイツのミュージカル作曲家として知られるフランク・ニムスゲルン(1969-)。世界的に有名なオペラ歌手ジークムント・ニムスゲルン(1940-)の息子である。フランク・ニムスゲルンはオーストリアのザルツブルク・モーツァルテウム大学で作曲や編曲を学び、また自身もピアノやギターを弾くなどバンド活動も行っている(フランク・ニムスゲルン・グループ)。そしてドイツ国内やヨーロッパだけでなくアジアやアフリカでも活動しており、ドイツで最も伝統あるテレビ関連の賞、ゴールデネ・オイローパ(ゴールデン・ヨーロッパ)を受賞している(2000年)。また幾つもの作品がCDやDVDで発表されている。

そのフランク・ニムスゲルンの出身がザールラントと言うことが関係しているのか、ここ数年、彼の作品がザールラント州立劇場で世界初演されている。「PARADISE OF PAIN」(1998年)、「SNOWHITE」(2000年)、「ARENA」(2004年)、「POE」(2004年)、そして「PHantasmaファンタスマ」(2009年)。

今シーズンが始まる前、チケット売り場では前売り券が発売されたが、その際長蛇の列が出来たと写真入り記事で新聞やニュースで報道されていた。また新聞や雑誌などの印刷物だけでなく、街中やザールブリュッケン空港などでもその看板を目にし、それに対する期待の高さが感じられた。内容はジャック・オッフェンバック(1819-1880)作曲のオペラ「ホフマン物語」(1881年初演)を元にした話で、クラシックやポップ、ロック、ジャズなどを融合したミュージカルと紹介されてあった。

開演前「ホフマン物語」のミュージカル版と言うことで期待して劇場を訪れた。プレミエ公演時はスポンサーや地元の関係者が来ているのか、特別な公演といった感じで、劇場は真っ赤にライトアップされていた。そう言えばこの演目はいつも完売になっている。商業的には成功している公演と言えるだろう。劇場にはオペラを訪れるような年配の方から、若い高校生と言ったグループまである。開演時間を少し回って舞台が始まった。

舞台セットは綺麗なもので、また照明の効果などもあり印象的な作りとなっている。歌手陣などの衣装も、その舞台にあった綺麗なもので、セット、衣装とも何度も変わり舞台転換を上手く演出していた。音楽の方は、生バンドと録音によるもので、大音量がスピーカーから流れてくる。クラシックやポップ、ロック、ジャズなどを融合したとあったが、実際はロックをベースにポップスなどをミックスしたといった感じだろうか。歌手陣もマイクを使っており、スピーカーからは大音量が流れている。

観客には年配の方も多いと書いたが、この場所には、あっていないように思えるような音楽だった。物語は「ホフマン物語」でも何処かロックショーといった雰囲気がある。それ故、高校生などの若者には受けが良く、カーテンコールでも黄色い声が幾つも飛んでいる。別の日に訪れた人によれば劇場内に特定の歌手を応援する横断幕も出ていたそうで、特に主役の二人、Mischa Mang(1966-)とDarius Merstein-MacLeod(1966-)には大きな声援があるということ。そういえばMischa Mangに関しては公演後に劇場入り口でサイン会をしているということだった。ミュージカルやこういったロック的なショーを中心に観ている人にとって、この「ファンタスマ」は大きな催し物かも知れない。

この演目、毎回完売になる人気演目となり、来シーズンも再演が決まったと先日劇場のホームページに記載されてあった。「ホフマン物語」、同じ話でもオペラとこのミュージカルでは受け取り方が全く違っている。言い換えれば作品の持つ奥深さや多様性があるとも言える。別の角度から一つの物語を見ることによって、また違ったものが見えてくる。そんなところにも、このミュージカル「ファンタスマ」の面白さがあるのかも知れない。


横断幕

街中にある「ファンタスマ」の横断幕

看板

ザールブリュッケン空港にある看板

Phantasma

Musikalische Leitung: Frank Nimsgern
Inszenierung: Elmar Ottenthal
Bühnenbild: Detlev Baujean
Kostüme: Angela C. Schuett
Choreografie: Jonathan Tilley

Giorgio Phantasma: Mischa Mang
Professor Marvel: Darius Merstein-MacLeod
Brenda de Ville: Aino Laos
Oscar / Henri / Al / Gofor / Engel: Maik Lohse (auch Cover Phantasma / Marvel)
Julia / Antonia / Marionetta: Michaela Kovarikova
Antonia / Assistentin von Brenda: Silvie Offenbeck
Assistentin von Brenda: Barbara Brückner
Kameramann: Vadim Volkov


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