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2009年10月10日 フェーダーヴァイサー

マルクトで売られているフェーダーヴァイサー

9月末からスーパーやデパートの店頭に並び始めたフェーダーヴァイサーという飲み物がある。地域によって、ノイアー・ヴァイン(新しいワインの意、プファルツ地方)やシュトゥルム(オーストリア)など様々な呼び方があるが、一般的にはフェーダーヴァイサーという名で知られている。マルクト(市)でもその場で瓶詰めにして販売されている(写真右)。

ドイツで秋に発売されるこのフェーダーヴァイサーは、熟成中、つまりワインになる途中のワインである。辞書を引くと、そこには「酵母が沈殿し始めた発酵中の新鮮なぶどう液」とある。これはアルコールも最終的に最大で12パーセント程になるが、例えば冷蔵庫などで冷やされていると、そのアルコールもほとんど感じず、少し炭酸が効いたブドウジュースのような味わいになっている。逆に冷やすのを止めて、一晩室内に置いておくと翌朝にはアルコール度のあるワインになってしまっている。冷蔵庫で冷やしている限りはブドウジュースのような飲みやすいワインを楽しむことが出来る。

発酵途中のワインなので、お店で売られている時も瓶の栓はしっかりと閉まっていない(完全に閉めてしまうと破裂の危険がある)。それゆえ瓶の蓋やラベルに「寝かさないで」と書かれている。寝かすと普通に零れてしまう。以前友人が何も知らずに寝かして持っていたが、鞄の中で瓶の中のものが零れていたということ。しかも糖分が多いので拭き取るのも簡単ではなかったそうだ。半開き状態で市場に出るので輸送にも適しておらず、本来はその地方ならではのものである。冷蔵庫が無かった時代にはワインの産地でしか飲めないものとされていた。

因みにザールブリュッケンで一般的に売られているものは、地元周辺のもの以外にドイツ・バーデン地方のものとイタリア産をよく目にする。偶然かも知れないがイタリア産の方がアルコールが強く感じられる。もしかすると輸送距離と関係があるかも知れない。

このフェーダーヴァイサー、スーパーなどに並ぶといつも直ぐに売り切れてしまう。白と赤があるが、白の方が一般的で酸味もなく口当たりが良い。友人や知人などに伺うとこのフェーダーヴァイサーの難点は、美味しくてジュースのようだから1リットルが一度になくなってしまうと言うこと。

ところでフェーダーヴァイサーと一緒に食するものとして代表的なものの一つにツヴィーベルクーヘンというものがある。直訳すれば、玉ねぎケーキ。「ケーキ」という名前が付くが実際は甘くない。売られている場所はパン屋や肉屋が多く、これは玉ねぎとサワークリーム、卵、ベーコンなどを混ぜてオーブンで焼く料理である。混ぜるものも地域によって様々で、郷土料理の一つとも言える。ザールラントでは一見するとキッシュによく似ているものが売られている。

フェーダーヴァイサーやツヴィーベルクーヘン、どちらも秋の風物詩の一つである。同時に店頭から季節ものであるフェーダーヴァイサーが姿を消すと、冬の到来はもうすぐである。


デパートに並ぶフェーダーヴァイサー

パン屋に売られているツヴィーベルクーヘン

デパートに並ぶフェーダーヴァイサー

パン屋に売られているツヴィーベルクーヘン

白のフェーダーヴァイサー

立てて置くように

白のフェーダーヴァイサー
泡が見える

立てて置くように


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