Home > ザールブリュッケンでの日記 > 日曜日のショッピング
現在、ドイツでは一般的に日曜祝日は商店が休みで、月曜日から土曜日は6時から20時まで開店しているお店が多い。しかし以前は土曜の営業時間が短かったり、平日も18時半までだった。これは1956年に制定された閉店法に基づいており、それは1900年、ドイツ帝国(第二帝国)時代に制定されたものに由来する。これは商店の営業時間に関する法律で、労働者を夜間と週末の労働から解放し、不公正な競争を防止するために制定された。それ以外に日曜日はキリスト教の安息日であると言うことも、この法律制定には影響した。しかしそれも近年、幾度か改正され徐々に規制が緩くなってきている。2006年にはドイツで開催されたサッカー・ワールドカップの際、期間限定だったが、その規制が緩和され、試合の行われる街やその周辺では、日曜祝日も開店が認められることもあった。
これまで営業時間の自由化に関する裁判などがあり、ドイツ国内で日曜祝日以外の24時間営業(6x24規制)が求められた。そして2006年、連邦制改革の一環として、連邦基本法(憲法)の改正が行われ、閉店法の権限が連邦政府から州政府に変更された。その際、カトリックの強いバイエルン州と、商店側からの要望がないとしたザールラント州は規制緩和を拒否した。が、現在、ザールラント州でも年に一度だけ24時間営業を許可し、日曜は年に4回まで営業可能となった。
その営業可能となった最大年4回の日曜日、それらの日はそれぞれの商店が決めるのではなく、ザールラント州の街毎によって違っている。例えばザールブリュッケン(シティ・マーケティング社とザールブリュッケン市が企画運営)は2009年、1月4日、4月5日、10月11日、11月29日となっている(しかしカレンダーによっては最後の日が11月8日になっているものもある)。ただその日曜日、市内全てのお店が営業するのではなく、ザールブリュッケンの場合は街中心のバーンホフ通り周辺だけで、時間も13時から18時となっている。
そして日曜日の営業日である4月5日、街の様子を見に、バーンホフ通りに向かった。気温が少し暖かいだけでなく、時計の針が冬時間から夏時間になって、感覚的にも明るくなったためか、そこにはいつも以上の人が歩いていた。中には、この日曜日に合わせて特別セールなどをしているお店もあり、いつも以上に賑やかになっている。そういえば、その人混みの中でザールラント州立劇場の関係者の人が4月にドイツ初演を迎えるスカルラッティ「Il Tigrane」の宣伝を配っていた。
それにしても人が多い。周辺のオープン・カフェも何処も一杯のように見える。また街ゆく人からはフランス語もよく聞こえていた。周辺の地域だけでなく国境を越えて来る人も多かったのだろう。またバーンホフ通りには簡単な子供用の遊戯施設や屋台も出ていた。そういったところからも、この日曜日の開店は、「日曜日に買い物」というよりは「日曜日のイベント」と言う方が良いかも知れない。
ドイツの閉店法、特に日曜日のお店が休みというのは、多くの人の身体に染みついているに違いない。日曜日に買い物が出来ないのは不便なこともあるが、それがゆったりとした生活をもたらしているとも言える。それが「この日曜日だけ開いている」となっても、現状では、買い物の出来る日が増えたと言うよりも、単に日曜日の催し物が増えたといった感があるが、いずれにしても徐々に緩和されているドイツの閉店法の行方とともに、ドイツ人の生活スタイルも変化していくかも知れない。