2009年01月03日 新年の花火

2009年の新年を迎える数分前から、真っ暗な窓の外では花火や爆竹の音が響いている。それに混じって、歓声や奇声も時々耳に届く。一年で花火が許される日がこの年末だ。ドイツでは法律で年末年始以外の花火は禁止されている。なので、それ以外のシーズンではお店に花火が並ぶこともない。

また大きな打ち上げ花火の文化も日本とドイツでは違っている。日本の「大花火大会」では、数十分間から一時間以上、様々な花火が打ち上げられる。その中には非常に凝ったものまであって、花火大会そのものが一つの催しであるが、ドイツの場合は、何かの催し、例えば夏フェストのようなものの中で打ち上げられることが多い。しかも夏は日が沈むのが遅いので、午後10時45分からといったものも見られる。そしてその時間は約10分間ほど。日本の芸術的な花火大会を観た後に、ドイツの花火大会を見ると、ドイツのものが非常に質素なものに感じられる。このドイツの打ち上げ花火は許可をもらってやっているので違法ではないが、夏の時期、日本でよく見られるような線香花火を楽しむ文化がドイツにはない。

逆にドイツで花火といえば「新年」という応えが返ってくるくらいに、年末年始の風物詩的なものとなっている。特に新年を迎える瞬間、このときにはあちこちの方向から、各々が花火を上げ、そして街全体がその煙と火薬の匂いで包まれる。そのほとんどがロケット花火のような打ち上げ花火で、中には人混みの中であえて人のいる方向を狙って打ち上げるという危険なものまでいる(時々、救急車のサイレンの音も聞こえる)。新年を迎える高揚した気分は街全体を覆い、花火を打ち上げながらシャンパンやワインで乾杯している人、歓声奇声を上げる人、楽しい雰囲気がそこにはある。

その年が変わる瞬間、自分にとって最も印象的なものと言えば教会の鐘の音である。花火や爆竹がパンパンパンパン、ヒュ~と音を立てている中で、教会の鐘はガゴーン、ガゴーンと乱れ打ちのように大きな音を立てている。時を知らせる鐘と言うよりは、教会の鐘自身が新年を喜んでいるような印象を受ける。この鐘は約10分間ほど続くだろうか。その鐘が終わると、花火の音も急に小さくなったように感じられる。既に多くの人が手持ちの花火を打ち上げ終わったということもあると思われるが、叫び声も少なくなり音の波が去ったといった雰囲気になる。その後、多くの人は改めて新年を祝うため、お店や家の中に場所を移すのだろう。花火や爆竹はほとんど聞こえなくなる。午前3時頃まで、時々思い出したかのように単発の花火の音が聞こえることがあるが、それらは静かな夜に直ぐに吸収されていってしまう。

ところで翌日早朝の光景はすさまじいものがある。路上には花火の燃えかすや、空き瓶が転がっており、まさしく宴の跡といった感じになっている。それとも祭りの最中に人が消えてしまったという雰囲気だろうか。1月1日は祝日というだけでなく、前日大晦日の夜遅くまで起きていて、1日はまだ活動していない人が多いようにも思われる。その中には新年を迎える時に教会を訪れていた人もいるだろう。新年の朝はいつもよりひっそりとしており、まだ街全体が眠っているという印象を受ける。新年1月1日の静けさ、それもまたドイツらしいものなのかも知れない。


新年の花火

新年の花火


新年の花火

新年の花火


新年の花火

新年の花火


花火のあと

花火のあと(2008年1月1日に撮影)


新年の花火

新年の花火


新年の花火

新年の花火


新年の花火

新年の花火


花火のあと

花火のあと(2008年1月1日に撮影)




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