Home > ザールブリュッケンでの日記 > 州立劇場、「ベストプログラム」を受賞
2009年2月1日(日)、ザールラント州立劇場において、"Bestes Opernprogramm 08/09"の表彰が行われた。これは2008/09年シーズンで最も良い(とされる)オペラの公演プログラムで、この賞はVerband Deutscher Bühnen- und Medienverlageというドイツの舞台・劇場関連の団体が2年おきに発表している(前回2006年はブレーメンの劇場が受賞した)。これは国際的な賞ということで、ザールラント州立劇場の月刊プログラムなどでも表紙に受賞のことが書かれていた。
例えばバイエルンやウィーンなどの歌劇場は、極端に言ってみれば、そこに劇場があるだけで観客が入るような劇場と言えるかも知れない。しかしザールラント州立劇場のような地方劇場は観客の入りが公演によって大きく違う。そういった状況のなかで、新しいことに挑戦し、更なる分野を開拓していくのは非常に難しいと思われる。
州立劇場の総支配人としてダクマー・シュリンクマンが2006年にその職について以来、オペラのプログラムに、世界初演、ヨーロッパ初演、ドイツ初演といったものが見られるようになった。それらは現代の作曲家の作品だけでなく、バロックの作品にも及ぶ。言ってみれば、それだけ話題性を探しているのかも知れない。しかし単純に話題だけでは観客は入らなくなるだろう。その中で如何に良い公演がなされるかが問題となってくる。上記の表彰の際にもオリジナル性とプロフェッショナル性が意識されたとあったが、そういったところも評価されたのだろう。挑戦しながらの開拓はここで終わることなく今後も続けていって欲しいと思う。
ところで授賞式の際には劇場総支配人シュリンクマンと劇場オペラ分門の責任者ベルトルト・シュナイダーが劇場側から出席し、またザールラント州の文化大臣アンネクレット・クランプ=カッレンバウアーや州首相ペーター・ミュラーが同席した。州の首相までが出席する授与式は、それだけ大きな名誉と言うことなのだろう。
そういえば劇場総支配人シュリンクマンの体制になってから、年間観客総数が伸びているという話だが、それもこういったプログラムの影響があるのかも知れない。新聞などによればザールラント州は文化費を削減しようとしていた(している)話があったが、今回の受賞はそういった面にも様々な影響を与えるに違いない。いずれにしてもオペラを観る側の人間にとって見れば、有名な作品であっても世界初演でもあっても、色々な作品を高いレベルの公演で観てみたいということだ。同時に今回の年間最高プログラム受賞で、来年以降の演目が更に楽しみになった。
「ベストプログラム」の冊子、表紙の写真は「Der erste Kaiser」のもの
授賞式
2月の公演予定
劇場に掲げられた垂れ幕
劇場内に展示された賞状