Homeザールブリュッケンでの日記 > ザールブリュッケン・デジタルフォトデー

2008年11月16日 ザールブリュッケン・デジタルフォトデー

ザールブリュッケン市内の、とあるカメラ屋で11月14日(金)15日(土)「ザールブリュッケン・デジタルフォトデー」という催しが行われた。ザールブリュッケンでカメラなどを扱ってるお店は幾つかあるが、カメラメーカーのサイトにある、ザールブリュッケンのショップ検索をすればこのお店しか結果に出てこないので、このお店は市内唯一のカメラ屋と言っても良いかもしれない。そしてそのお店の看板にはその告知と、詳細として幾つか内容が書かれてあった。デジタル一眼レフカメラのセンサークリーニングや安売りなどと並んで、2008フォトキナでの新製品とある。

フォトキナとは2年に一度、ドイツ・ケルンで開催される写真・映像関連の見本市で世界各国のメーカーが参加する大きな催しである。それにあわせて新製品が発表されるだけでなく、今後2年間における各社の開発方向性などが分かるので、写真関連の人や興味がある人にとって一大イヴェントとなっている。そのフォトキナでの新製品がザールブリュッケンのそのお店でも見られると言うこと。

カメラに興味があるので、そのお店を覗いてみた。そのお店は小さな店舗だが、その中で人が行き交うのも難しいほどに混み合っていた。自分の関心は新製品である。ただフォトキナ発表の新製品といっても、試作品(ライカSシステムなど)はこのお店にはなかった。このザールブリュッケンのお店の中には幾つかのブースが設けられ、といっても実際にはテーブルがあるだけだが、その上に新製品が並べられている。

ところで例えば電化製品で新製品が出た場合、日本だと大型量販店などに行けば本物を見られる。カメラにしても幾つもの実機が並べられてあり、色々とチェックが出来る。そして購入するなら、割引交渉が出来たり、ポイント取得など色々な特典がある。しかしドイツでの場合、カメラの例なら、それぞれの実機は一台だけで、それが数台並んでいるだけであり、また電源も入っていない。つまり実際手に持った感覚や重さを知れるだけである。その上購入時でも、割引交渉も出来ず、提示されている値段そのままというのが一般的であり、ポイントや付属特典も(ほとんど)ない。また日本では「他店より高ければ安くします」といったものもあるが、ドイツではそういった他店との競争をほとんど感じない。日本の大型量販店では一般的に「お客様は神様です」的なサービスが見られるが、ドイツでは昔ながらの職人気質的なところがあるのか、日本とは立場が少し異なっている。

カメラに限って言えば、今回訪れたザールブリュッケンのお店もそうだが、多くのカメラ専門では、実機を触ることすら難しいことが多い。ほとんどの場合、ショーケースに入っており、眺めるだけで終わってしまう。それが今回のザールブリュッケン・デジタルフォトデーでは手にして見られると言うこと。それ故、そこには多くの人がいた。

このザールブリュッケンのお店入り口前には二つのメーカーのブースがあった。そのお店が販売に力を入れているメーカーなのだろう。逆に柱の裏側にもブースがあったが、そこは影が薄く狭いテーブルだった。ところで自分が見たいカメラ2機種、それらは2008年秋発売のもので、既にドイツでも発売されているが、自分は一度も目にしたことがなかった(カメラを扱う別のお店にもなかった)。なのでそれを目当てにお店に行ったのだが、それらは一台ずつ置かれているだけで、順番待ちという状況だった。しかし自分の次は誰もおらずゆっくりとカメラを見ることが出来た。

ちなみにカメラの価格、ドイツと日本を比べるならば、日本の方が安い。ほとんどが日本のメーカーなのでヨーロッパへの輸送費もかかるのだろう。製品によっても違うが、(ユーロを円に換算すると)日本の価格の1、5倍から2倍ほどする。というのは、日本の方は大型量販店など価格競争もあり価格下落率が高い。一方ドイツでは、それほど大きな値引きがなされないことも影響しているかも知れない。ただ今まではそういった状況が続いていたが、今年10月頃の急激な円高で円換算価格もそれほど日本と変わらないような印象を受けた。

ところで、あくまで個人的な印象だが、ザールブリュッケンにおけるカメラに対する意識が他の街のそれとは違っているように感じられる。例えば美術館や博物館。他の街の世界的に有名な絵画が展示してあるところでも、フラッシュを使わなければ基本的に撮影は許可されている。しかしザールブリュッケンの美術館や博物館では撮影そのものが許可されておらず、事前に申請しなければならない。そして街並み。ザールブリュッケンの街並みは歴史的建造物も少なく、他のドイツ・ヨーロッパの街並みに比べると写真映えする街並みとは言い難い。また観光客の数も年間約6万5千人と決して多くない。極端な言い方をすれば、ザールブリュッケンではカメラを首から提げた人(観光客)をそれほど目にしない。しかし例えばミュンヘンやニュルンベルクなど観光にも力を入れている街であれば、大通りを歩くと首からカメラを提げた人を何人も目にする。その街の地元の人にとっても、そういったカメラを提げた人たちの姿は日常的なものかも知れない。しかしザールブリュッケンでは、非日常と言わないまでも、やはり少なく感じられる。

自分の経験上では、今まで他の街で写真を撮っていて、声をかけられたことはそれほどないが、ザールブリュッケンでは「何を撮っているのですか?」と何度か声をかけられたことがある。言い換えれば、それだけ人懐っこいのかも知れないし、また観光客的な人が珍しいのかも知れない。いずれにしてもドイツの街によってカメラに対する意識が違うのでは、と感じられた。

ところで、今回ザールブリュッケン・デジタルフォトデーを開催したお店は街の中心の大通りにあるが、この催しではデジタル一眼レフカメラのセンサークリーニングなども行われていたためか、その両日、デジカメを持っている人を多く見かけた。普段はほとんど見かけないにもかかわらず、これらの日には街や街ゆく人の写真を撮っている人が多い。これだけ多くの写真愛好家がこの街にいたのが、自分にとって最も驚いたことだった。いずれにしても今回のザールブリュッケン・デジタルフォトデー、色々な情報を手にすることが出来、自分にとっては非常に満足したものだった。


日本のパンフレット

日本のパンフレット


ドイツのパンフレット

ドイツのパンフレット


そういえば、ドイツでカメラを扱っているお店で、製品のパンフレットが置かれているのを、あまり目にしたことがない。あってもほんの僅かである。しかしこの日は幾つかのメーカーではパンフレットが充実していた。一部のメーカーのものをもらってきたが、日本で出ているパンフレットと比較してみるのも面白い。内容は基本的に同じだが、日本のが厚紙的なものに対し、ドイツのものは映画のパンフレットのような紙である。しかも表紙も違っている。単純には言えないが、そこには日本とドイツにおける販売の考え方の違いがあるのだろう。


▲ページの最初に戻る