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2008年11月08日 バレエ「The winners are...」

劇場アルテ・フォイアーバッヒェの直ぐ横に一つの看板がある。ザールラント州立劇場管轄下のこの劇場で行われている演目が、ここに告知されている。そこに9月中旬頃から「The winners are...」があと何日でプレミエ(初日)を迎えるといった看板が出た。そのプレミエの日はその公演だけでなく、ザールラント州立劇場バレエにおける2008/09シーズンの初日でもあった。

バレエ「The winners are...」はその副題が示すように国際コンクールでの入賞した振付作品やその他、観客賞、批評家賞を受賞した合計7作品を集めてのバレエである。幾つかの作品が一度に観られるのは面白いので、初日公演のチケットを買いに行った。しかし窓口で聞くと既に完売と言うこと。劇場アルテ・フォイアーバッヒェの客席数は僅か240と少ないので、人気のある演目などは直ぐに売れ切れになってしまう。そこで後日、改めてチケットを買いに行ったが、そのときも完売という返事が返ってきた。

同じ頃にバレエ雑誌「Ballettanz」や「Die deutesche Buehne」でザールラント州立劇場バレエ、ドンロン・ダンス・カンパニーの主宰者、マルゲリッテ・ドンロンや彼女の作品が、2007/08シーズンで「最も重要なプロダクション」にノミネートされたり、色々と話題になっていることもあり、関心を持つ人が多くなっているのかも知れない。

そして3度目、チケット売り場に並ぶと、平日だったせいか、すんなりとチケットを買うことが出来た。この劇場は基本的に自由席なので早めに家を出て劇場に向かった。劇場に入ってみると、約7割ほどの客の入りと言ったところだろうか。バレエの公演と言えば、どちらかと言えば若い人が多くなるが、ここでは年配の方々の姿も多く感じられた。

7つの作品、それぞれに見応えがあり、面白いものだったが、パンフレットを見ると、舞台とパンフレットでは踊っている人が違っているものもある。7つの作品全てではないだろうが、おそらく一人数作品は踊れるように準備がなされているのだろう。

ところでこの劇場では自由席なので、舞台全体を観られるようにと、中央の上段の席に着いたが、作品によっては上からではなく正面から観た方が良かったのではと思われるものもあった。そういったように7作品、それぞれ個性があって面白い。大体どの作品も時間は約10分ほどである。その中にストーリーがある。そして音や音楽、照明などの変化によって転換を作っている。

また一作品だけ一人で踊っているものがあったが、他の作品はどれも複数で踊っていた。言い換えれば全員が主役である。その彼、彼女の踊りを観ていると、色々な発見があって、興味深い。あくまで個人的に感じたものだが、ある人は濃厚さがあり、また別の人は軽さがある。そして最初の一歩が非常に綺麗に見える人、それぞれの人にそういった色々な、その人らしさがあり、その点でもそれぞれの作品には惹かれるものがあった。

ただ逆に踊り手の印象が薄い作品もあった。作品の面白さはあるのだが、どちらかと言えば踊りではなくて、その演出的なものが印象に残っている。7つの作品、パフォーマンス的なものもあれば美を意識したものもあり、何度も書いているように面白く、見応えがあった。また別の日に観れば、踊っている人も違う可能性があるので、作品の理解度や印象も変わるだろう。事実、もう一度観てみたい作品や観たい人がいる。しかしそのように意識すると、この演目のタイトルである「The winners are...」が意味深く思えてくる。


初日公演前の看板、一日前

初日公演前の看板、一日前


公演当日の看板

公演当日の看板


パンフレットとチケット

パンフレットとチケット


ポストカードのようなもの

ポストカードのようなもの


The winners are...

Dan Pelleg & Marko E. Weigert: Box
Loïc Perela: A la réflexion...
Rafael Bonachela: Irony of fate
Mirko Guido: Tra me e se, forse
Idan Cohen: A year in a fish life
Eric Gauthier: Ballet 101
Mirko Guido: unwritten


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