Home > ザールブリュッケンでの日記 > 霧の日
幻想的であるけれど、一方で先が見えない不安もある。
朝起きて、シャッターを開けると、窓の外には一面の霧が立ちこめていた。この日の最高気温は4度で、最低気温は-2度と一月らしい天候となっているが、(相対)湿度は94パーセントで、今年に入ってからでは最もその数値が高い日だった。
午前中は重い白色の世界が拡がっていたが、正午過ぎにはその霧も晴れだしてきた。そのころ外に出てみると、吐く息が白いだけでなく、顔にまとわりつくような空気が冷たい。
アルテ・ブリュッケ橋の正面に見えるザールブリュッケン城付属教会の上部、塔のあたりはまだ霧に包まれている。ザール川沿いのアウトバーンを走る車もライトを点けて走っている。霧が出ているからか、その走る速度もそれほど速くない。おそらく交通規制が出されているのだろう。そして車が走っている音が実際は聞こえるのに、霧がかかった中では、そこはまるで音のない世界のようにも感じられる。
ザールブリュッケン城のテラスから街を望むと、街は濁った白色に覆われていて別世界になっている。その下で、本来は人が動いているのだろうが、人も建物も全て飲み込まれてしまったように見える。
外に出て暫くすると、空を覆っていた雲が明るく輝きだした。雲をよく見ると、動いているのが分かる。時に眩しくなったり、逆に更に曇ってしまったり。街に覆い被さる「雲」という大きな生き物が移動している。それから風を意識するようになった。肌寒い風が吹いている。暫くすると霧は消え、雲の隙間から青空が顔を出していた。
霧が晴れてきた
霧が晴れてきた時の太陽