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2007年12月8日 "記憶の列車" in ザールブリュッケン

12月5日(水)、"記憶の列車 Zug der Erinnerung"と呼ばれる列車がザールブリュッケン中央駅1番線ホームに到着した。ニュースではザールラント州首相ペーター・ミュラーが挨拶をしている映像が流し出されていた。この列車は11月8日から来年にかけてドイツ全土を回る特別列車で、ザールブリュッケンには8日(土)まで停車している。

1921年に作られた蒸気機関車に引っ張られる5両からなる列車の客室。その中では、ナチスによって絶滅収容所に送られた子供たちに関する特別展がなされている。この列車はドイツ全土を回り、そしてポーランド・アウシュヴィッツを最終目的地にしている。到着予定日は2008年5月8日。この日は第二次世界大戦においてドイツが降伏した日である。

言ってみればこの"記憶の列車"はドイツを回るという地理的な旅だけでなく、過去から未来へと時間的な旅をしている。しかしそれは単なる時間旅行ではない。過去を過去のまま置いておくのではなくて、過去を取り戻す作業が必要とされる。

ザールブリュッケン中央駅に停車中の"記憶の列車"号

ザールブリュッケン中央駅に停車中の"記憶の列車"号


ザールブリュッケン中央駅に停車中の"記憶の列車"号

ザールブリュッケン中央駅に停車中の"記憶の列車"号


ザールブリュッケン中央駅に停車中の"記憶の列車"号入り口

ザールブリュッケン中央駅に停車中の"記憶の列車"号入り口


ザールブリュッケン中央駅に停車中の"記憶の列車"号

ザールブリュッケン中央駅に停車中の"記憶の列車"号


ザールブリュッケン中央駅に停車中の"記憶の列車"号

ザールブリュッケン中央駅に停車中の"記憶の列車"号


駅にあるポスター

駅にあるポスター、1番ホームと書かれてある。




"記憶の列車"での展示

コンパートメントタイプで座席を取り外した客室内では、パネルやビデオを使って、ドイツだけでなくヨーロッパからアウシュヴィッツ絶滅収容所に移送された子供たちに関する情報や彼らの手紙などが展示されている。また全ての路線がアウシュヴィッツに繋がるナチスの鉄道網などが紹介されているのと同時に、それを実行した人物についても言及されており、そこからナチスの政策が垣間見られる。

不安そうな表情を向ける子供たちの写真。そこには人の想いがあることに改めて気付かされる。生きたいと望んでいた人たちがそこにはいた。展示されていた手紙には「私は生きたい、頑張りたい。闘いたい、愛したい、憎みたい」「自由に呼吸したい、叫びたい」といった言葉が綴られていた。無言の世界。気がつけば横に立つ年配の女性が、真剣な眼差しでパネルの文字を追っている。振り向けば、通路を喋りながら通り過ぎる若い人たち。過去は単なる昔ではない。その過去は現在をも含んでいる。

展示を見て駅を出ると、外は冷たい雨が静かに降っていた。

"記憶の列車"展示室

記憶の列車"展示室






"記憶の列車"展示室

記憶の列車"展示室

"記憶の列車"展示室

記憶の列車"展示室


"記憶の列車"展示室

記憶の列車"展示室


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