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ザールブリュッケンの市庁舎はもともとザンクト・ヨハン市の市庁舎としてゲオルク・フォン・ハウベリッサー(1841-1922)によって1897-1909年、ネオゴシック様式で建設された(落成式は1900年6月23日)。
ところで彼はミュンヘンの新市庁舎建設で知られる。当時、街が拡張していたミュンヘン市は新たに市庁舎を建設することを決め、コンテストなどを行い、その結果ルネサンス様式で建設されることが一度は決まった。しかし、バイエルン王ルートヴィヒ1世による街作りの結果、「イザール河畔のアテネ」と呼ばれるに至ったドイツの中心たる街に、イタリア・ルネサンスはふさわしくなく、ドイツ・ゴシックでの建設が求められ、その結果、若干25歳でまだほとんど経験がなかった建築家ハウベリッサーの出した案が採用されることになった。言ってみれば彼の建築は当時、最もドイツらしいものだったのかも知れない。ザールブリュッケンはその彼に市庁舎建設を依頼した。フランスの影響を受けたザールブリュッケンの街がドイツらしさを選択したとも言える。
赤い砂岩を使った建築は向かいに建つヨハンネス教会を意識して建設された。
この市庁舎は1909年4月1日、これまでのザンクト・ヨハン市、アルト・ザールブリュッケン市、マルシュタット=ブルバッハ市が合併して新たに出来たザールブリュッケン市の市庁舎となった。
市庁舎 |
市庁舎裏側 |
市庁舎装飾 Rathaus
市庁舎正面にはザールブリュッケンの産業を表す6体の銅像が置かれている。鉱山労働者、鋳造工、農夫、ビール醸造者、商人、製革工の銅像がある。また塔には竜と闘う聖ゲオルク像がある。これは悪に対する善を意味する。そして東棟の上には高さ2,3メートルの騎士の像が街を守るようにして立っている(アントン・カインドゥル作)。
鉱山労働者 |
鋳造工 |
農夫 |
ビール醸造者 |
商人 |
製革工 |
竜と闘う聖ゲオルク像 |
大時計 |
装飾 |
装飾 |
装飾 |
装飾 |
ガーゴイル |
騎士の像 |
新即物主義様式の建物と新しい建物 Neue Sachlichkeit und Neues
市庁舎の建物は1922-1925年及び1932-1937年に拡張されたが、それは新即物主義に基づいて建設された。同じ赤い砂岩が使われているが、正面のネオゴシック様式との対比が面白い。それに対して近年、新たに拡張された箇所はガラス張りとなっている。その建物は市立図書館と繋がっており、その広場はザールラント出身の作家・ジャーナリストの名を取ってグスタフ・レーガー広場(1898-1963)と名付けられている。
新即物主義の市庁舎 |
新即物主義の市庁舎装飾 |
新即物主義の市庁舎装飾 |
新たに拡張された市庁舎 |
市立図書館 |
グスタフ・レーガー広場 |
市庁舎とその周辺 Umgebung des Rathauses
19世紀後半、エデュアルト・クライシヒによる街の整備計画が出された時、新たに建設される市庁舎(ザンクト・ヨハン市)の場所は、市の中心(ザンクト・ヨハンナー・マルクト)から外れた場所だった。市庁舎のあたりは当時、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世(1797-1888)に因んでカイザー・ヴィルヘルム広場と呼ばれていた。ところで市庁舎の正面階段は道路よりも低い位置にあるが、この高さが建設当時の土地の高さで、その後、道路を整備する際に高さが調整され、現在のようになった。
高さ54メートルの塔にある鐘は、1901年に24個の鐘が設置されたが、1941年、それらは軍事目的のために溶かされた。そして1999年、ザールブリュッケン1000年祭の時に、ザールラント商工会議所などの援助があり、新たに設置された。毎日10時10分、13時13分、16時16分、19時19分に鐘が鳴らされ、民謡やバッハ、ベートーヴェンの作品が演奏される。
市庁舎の前に二つの噴水がある。その一つにはザールラントとザールブリュッケンの紋章が彫られている。ザールブリュッケンの紋章は1909年に3つの街が合併したときに新たに作られたが、それぞれの市の紋章が組み合わされている。左上にザンクト・ヨハンのバラ、右上にマルシュタット=ブルバッハのハンマー、鉄、鉗子が描かれ、それらの下にアルト・ザールブリュッケンの侯爵家ナッサウの紋章であった獅子が描かれている。またもう一つの噴水は彫刻家マックス・メルツの作品で、三本の柱は発展する3つの街をイメージし、噴水はそれらが絡み合う様子を表現している(1959/60年制作)。
また市庁舎正面には1947年12月30日の増水の記録がある。ザール川が氾濫し、街に水が溢れた時の記録である。
グロッケンシュピールの碑 |
グロッケンシュピール |
グロッケンシュピール(演奏時) |
増水の記録 |
グロッケンシュピール |
街灯 |
ガス灯の名残 |
三本の柱の噴水 |
低くなっている市庁舎前 |
紋章の掘られた噴水 |
ゲオルク・フォン・ハウベリッサーの碑 |
名誉市民である「白バラ」のヴィリー・グラーフ像 |
市庁舎広場の建物 Umgebung des Rathausplatzes
市庁舎周辺の建物はヨハンネス教会や市庁舎と調和するように建設された。市庁舎広場南西側は1902年、ヴィルヘルム・ノルによって建てられた複数の建物があるのを始め、1902-1908年の間に建設された。他の建築家はグスタフ・シュモル。ユーゲントシュティールの装飾が見られる。対して広場北東は1887-1929年に建てられた。建築家はクリスティアン・ブルゲマイスター、ヴァルター・クルスペなど。
市庁舎周辺の建物 |
市庁舎周辺の建物 |
市庁舎周辺の建物(1908年 グスタフ・シュモル建築) |
市庁舎周辺の建物 |
市庁舎周辺の建物 |
市庁舎周辺の建物 |
市庁舎周辺の建物(1901年 ヴィルヘルム・ノル建築) |
市庁舎周辺の建物(1900年頃建設) |